責任あるギャンブルについて|安全に楽しむためのガイド
責任あるギャンブルとは
「責任あるギャンブル」とは、ギャンブルを娯楽の範囲内にとどめ、生活や家計、心身の健康に悪影響を及ぼさないよう、自分でコントロールしながら向き合う考え方です。勝ち負けは常に運に左右されるものであり、長期的に見て「必ず勝てる方法」は存在しません。あくまで余暇の楽しみとして、無理のない範囲で付き合うことが大切です。
また、日本の法律上の扱いについてはオンラインカジノは違法?をご覧ください。オンラインカジノの多くは海外(オフショア)を拠点とする事業者によって運営されており、日本の規制当局の監督は及びませんが、海外の事業者を利用したという理由で日本の法律の適用が外れるわけではありません。本ページは、ギャンブルと安全に向き合うための一般的な情報提供を目的としています。
ギャンブル依存症のサイン(自己チェックリスト)
ギャンブル依存症(ギャンブル等依存症)は、意志の弱さではなく、誰にでも起こりうる状態です。以下は一般的なサインの例です。当てはまる項目が多い場合は、早めに専門の相談窓口や医療機関に相談することをおすすめします。
- 予定していた金額や時間を超えて、やめられないことが増えた
- 負けた分を取り返そうと、さらに賭けてしまう(追い掛け金)
- ギャンブルのために借金をしたり、生活費に手をつけたりしている
- ギャンブルのことばかり考えてしまい、仕事や家庭がおろそかになる
- 家族や周囲にギャンブルの事実や金額を隠している
- やめよう・減らそうと思っても、うまくいかない
- ギャンブルをしていないと落ち着かない、イライラする
これらはあくまで一般的な目安であり、診断ではありません。気になる場合は、一人で抱え込まず専門家に相談してください。
自分を守るための対策
ギャンブルと健全に付き合うために、あらかじめ自分でルールを決め、利用できる機能を活用することが有効です。
- 入金上限(デポジットリミット)を設定する:1日・1週間・1か月あたりに使える金額の上限をあらかじめ決めておきましょう。
- 時間制限を設ける:プレイ時間を区切り、長時間の連続利用を避けます。
- 自己排除(セルフエクスクルージョン)機能を使う:一定期間、自分の意思で利用を停止・制限できる機能があれば活用しましょう。
- 余剰資金のみを使う:生活費・貯蓄・借入金などは決して使わず、失っても生活に支障のない範囲の金額に限定します。
- 追い掛け金(負けを取り返そうとする賭け)をしない:損失を取り戻そうとする行動は、さらなる損失につながりやすい典型的なパターンです。
「勝っているうちにやめる」「決めた上限を超えない」といった、事前のルール作りと自己管理が、安全に楽しむための基本です。
20歳未満は利用不可・年齢確認について
日本では、ギャンブルに参加できる年齢は20歳以上とされています。20歳未満の方はギャンブルを利用できません。若年層は依存のリスクがより高いとされており、年齢制限は本人を守るためのものでもあります。
多くの事業者では、登録や出金の際に本人確認(KYC)や年齢確認の手続きが求められます。年齢や本人情報を偽って利用することは絶対に避けてください。未成年の方は、いかなる理由があってもギャンブルを行ってはいけません。
相談できる窓口
ギャンブル依存症は、適切な支援によって回復が期待できる状態です。困ったときは一人で抱え込まず、公的な相談窓口や医療機関に相談してください。各自治体の精神保健福祉センターや保健所などでも、ギャンブル等依存症に関する相談を受け付けています。
民間の支援団体としては、たとえば「特定非営利活動法人 ギャンブル依存症問題を考える会」などが、当事者や家族向けの活動を行っていることで知られています。ご自身に合った相談先を探す際の参考にしてください。
なお、具体的な連絡先や利用条件は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は、各機関・団体の公式な案内でご確認ください。
当サイトの姿勢
当サイトは、ギャンブルに関する一般的な情報提供のみを目的としており、利用を勧誘・推奨するものではありません。当サイトのコンテンツは、日本国外に居住する日本語話者の皆様に向けて作成されており、日本の法律に反する行為を助長または推奨するものではありません。
ギャンブルの利用はすべて自己責任です。当サイトの情報を参考にする場合も、最終的な判断はご自身で行い、リスクを十分に理解したうえでご利用ください。少しでも不安を感じたら、無理をせず、上記の相談窓口を頼ってください。
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関連するページ
安全に遊ぶための情報とあわせて、日本での位置づけや基本的な仕組みも確認しておきましょう。
プレイ前に確認しておきたいこと
ギャンブルを始めてから冷静に判断するのは、想像以上に難しいものです。勝ち負けの波や演出の興奮で、判断力は少しずつ揺らぎます。そのため、プレイを始める前の数分間に、確認すべきことを済ませておくことが重要です。ここでは、プレイ前に見直しておきたいポイントを項目ごとに整理します。

今日の予算と終了条件を「数字」で決める
「ほどほどにする」「負けすぎない程度に」といった曖昧な決め方では、その場の気分で簡単に上書きされてしまいます。プレイ前に、次のような項目を具体的な数字で決めておきましょう。
- 今回使ってよい金額:この金額を使い切ったら、その日は終了します。
- 終了する時刻:「〇時になったらやめる」と時刻で決めると、時間感覚のズレを防げます。
- 勝った場合の終了条件:勝ちが一定額に達したら終える、勝ち分の一部を確保するなど、勝っているときのルールも事前に決めます。
- 1回あたりの賭け金の上限:負けが続いたときに賭け金を引き上げないよう、上限を決めておきます。
決めた数字はメモに書き出す、スマートフォンのメモアプリに残すなど、目に見える形にしておくと守りやすくなります。
心と体の状態をチェックする
ギャンブルの判断は、そのときのコンディションに強く影響されます。次のような状態のときは、プレイ自体を見送るのが賢明です。
- 強いストレス、怒り、落ち込み、不安を感じているとき
- 飲酒している、または睡眠不足で疲れているとき
- 「お金が足りない」「急いでお金を用意しなければならない」と感じているとき
- 直前に大きく負けて、取り返したい気持ちが残っているとき
- 孤独感や退屈を紛らわせる目的でプレイしようとしているとき
ポイント:ギャンブルを「気分を変える手段」や「お金の問題を解決する手段」として使い始めると、依存のリスクが高まるとされています。娯楽として楽しめる心の余裕があるときだけプレイする、という原則を持っておきましょう。
利用規約・ボーナス条件・出金ルールを読む
オンラインカジノを利用する場合、各事業者が定める利用規約やボーナスの条件、出金のルールは事業者ごとに大きく異なります。内容を理解しないまま利用すると、「出金できると思っていたのにできなかった」といったトラブルにつながり、それが取り返そうとする行動のきっかけになることもあります。
- ボーナスの賭け条件:ボーナスを受け取ると、出金までに一定額の賭けが必要になる場合があります。条件の内容と期限を確認しましょう。
- ゲームごとの条件の違い:ボーナス消化の対象となるゲームや、賭け条件への反映率がゲームによって異なる場合があります。
- 出金の手続きと必要書類:出金時に本人確認書類の提出が求められることが一般的です。
- アカウントの制限や停止の条件:どのような場合にアカウントが制限・停止されるのかを把握しておきます。
- セーフティツールの有無:入金上限や自己排除などの機能が用意されているか、どこから設定できるかを確認します。
ボーナスは「お得」に見えますが、賭け条件を満たすためにプレイ時間や賭け金が増えやすい面もあります。受け取るかどうかは、自分の予算と時間のルールに照らして判断してください。ボーナスを受け取らない、という選択も十分に合理的です。
日本での法的な位置づけをあらためて確認する
本ページ冒頭でも触れたとおり、海外の事業者を利用したという理由で日本の法律の適用が外れるわけではありません。プレイ前には、法的な位置づけについて自分自身で理解しておくことが欠かせません。詳しくは「オンラインカジノは違法?」のページをあわせてご確認ください。
プレイ前チェックリスト(まとめ)
| 確認項目 | 確認する内容 | 「いいえ」の場合の対応 |
|---|---|---|
| 予算 | 今回使う金額を数字で決めたか。その金額は失っても生活に支障がないか | 金額を決めるまでプレイしない |
| 時間 | 終了時刻を決め、アラームなどを設定したか | 時刻を決めてから始める |
| 体調・気分 | 疲労、飲酒、強いストレスや落ち込みがないか | その日はプレイを見送る |
| 目的 | 娯楽として楽しむためか。お金を増やす・取り返す目的ではないか | 目的を見直し、プレイしない |
| 規約 | ボーナス条件や出金ルールを読み、理解したか | 理解できるまで入金しない |
| ツール | 入金上限や時間制限を設定したか | 先に設定を済ませる |
| 法的理解 | 日本での法的な位置づけを理解しているか | 関連ページで確認する |

各サイトが提供するセーフティツール
多くのオンラインカジノでは、利用者が自分でギャンブルをコントロールできるよう、さまざまなセーフティツール(責任あるギャンブルのための機能)が用意されています。ただし、提供される機能の種類や名称、設定方法は事業者によって異なります。ここでは代表的なツールの特徴と、使う際の注意点を解説します。
主なセーフティツールの比較
| ツール名(一般的な呼称) | 内容 | 主な設定単位 | 向いている人・場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 入金上限(デポジットリミット) | 一定期間に入金できる金額の上限を設定する | 1日・1週間・1か月など | 使う金額の総量を管理したい人 | 上限を引き上げる場合、反映までに待機期間が設けられていることが多い |
| 損失上限(ロスリミット) | 一定期間に失ってよい金額の上限を設定する | 1日・1週間・1か月など | 負けが膨らむのを防ぎたい人 | 計算方法(入金額基準か、賭けの結果基準か)は事業者により異なる |
| 賭け金上限(ベットリミット) | 1回あたり、または一定期間の賭け金総額に上限を設ける | 1回・1日・1週間など | 熱くなると賭け金を上げてしまう人 | 提供していない事業者もある |
| セッション時間制限 | 1回のログインで遊べる時間に上限を設ける | 分・時間単位 | 長時間プレイしがちな人 | 時間到達時に自動ログアウトされるかどうかを確認 |
| リアリティチェック | 一定時間ごとに経過時間や収支を画面に表示する | 分単位の通知間隔 | 時間や収支の感覚を保ちたい人 | 通知を習慣的に閉じてしまうと効果が薄れる |
| クールオフ(タイムアウト) | 短期間、アカウントを一時的に利用停止にする | 24時間・数日・数週間など | 一度距離を置いて頭を冷やしたい人 | 期間中は原則として解除できないことが多い |
| 自己排除(セルフエクスクルージョン) | 長期間、または無期限でアカウントの利用を停止する | 数か月・数年・無期限など | コントロールが難しいと感じている人 | 適用されるのはその事業者(または同一グループ)のみ |
| 取引・プレイ履歴の確認 | 入出金やプレイの履歴を一覧で確認できる | 期間を指定して表示 | 収支を客観的に把握したい人 | 定期的に見返すことで初めて意味を持つ |
| アカウントの閉鎖 | アカウントそのものを閉じる | — | そのサイトの利用をやめたい人 | 自己排除とは扱いが異なる場合があり、再開が容易なこともある |
入金・損失・賭け金の上限は「組み合わせて」使う
上限設定のツールは、一つだけでなく組み合わせることで効果が高まります。たとえば、入金上限だけを設定していても、勝った分をそのまま賭け続ければ、プレイ時間や賭けの総額は大きく膨らみます。
- 入金上限で「使うお金の総量」を管理する
- 賭け金上限で「1回の賭けが大きくなりすぎること」を防ぐ
- セッション時間制限とリアリティチェックで「時間の感覚」を保つ
上限を設定するタイミングは、冷静なときが最適です。負けている最中や、気分が高ぶっているときに設定を変更しないよう心がけましょう。
知っておきたい仕組み:多くの事業者では、上限を引き下げる変更はすぐに反映される一方、引き上げる変更や解除には一定の待機期間が設けられています。これは、衝動的な判断を防ぐための仕組みです。「上限を上げたい」と感じたときこそ、その理由を一度立ち止まって考えてみてください。
リアリティチェックを活かすコツ
リアリティチェックは、一定の間隔で「プレイ開始から何分経過したか」「現在の収支はどうか」を画面に表示する機能です。夢中になると時間の感覚が薄れやすいため、客観的な情報で現実に引き戻してくれる役割があります。
- 通知の間隔は、長すぎない設定にする
- 通知が出たら、いったん手を止めて収支と時間を確認する
- 事前に決めた終了条件に達していないかを照らし合わせる
- 通知を「邪魔なもの」と感じて閉じ続けているなら、プレイ自体を見直すサインと捉える
クールオフと自己排除の違い
クールオフ(タイムアウト)と自己排除は、どちらも「一定期間プレイできない状態にする」機能ですが、目的と期間が異なります。
- クールオフ:短期間の休止です。「今日は熱くなりすぎた」「週末だけ距離を置きたい」といった場面で使います。
- 自己排除:長期間、または無期限の利用停止です。「自分ではコントロールが難しい」と感じたときの、より強い手段です。
自己排除を申請すると、期間中はログインや入金ができなくなり、マーケティングメールの配信も停止されるのが一般的です。期間満了後の再開手続きについても、事業者ごとにルールが異なるため、申請前に確認しておきましょう。
注意:あるサイトで自己排除をしても、別の事業者のサイトには適用されないのが通常です。オフショアの事業者は日本の規制当局の監督が及ばないため、日本国内で複数事業者をまとめて対象とする共通の自己排除制度は、オンラインカジノには存在しません。ひとつのサイトで自己排除が必要だと感じた場合は、ほかのサイトの利用についても同様に見直すことが大切です。

セーフティツールの探し方
セーフティツールの設定画面は、サイトによって置かれている場所が異なります。一般的には、次のような場所に用意されています。
- アカウント設定(マイページ)内の「責任あるギャンブル」「プレイの管理」「リミット設定」などの項目
- サイト下部(フッター)の「責任あるギャンブル」ページ
- カスタマーサポート(チャット・メール)への依頼
設定画面が見つからない場合は、カスタマーサポートに問い合わせましょう。セーフティツールの説明が見当たらない、問い合わせても対応してもらえないといった場合は、そのサイトの利用自体を慎重に考え直すきっかけにしてください。
サイトの外で使えるセーフティ対策
サイト内のツールに加えて、自分の端末や生活環境でできる対策もあります。サイトのツールは「そのサイトの中」でしか効果がないため、外側の対策と組み合わせることで守りが厚くなります。
- 端末のスクリーンタイム機能:スマートフォンやパソコンに標準搭載されている利用時間制限やアプリ制限を活用する
- ウェブフィルタリング・ブロックソフト:ギャンブル関連サイトへのアクセスを制限するソフトやブラウザ拡張機能を使う
- 決済手段の整理:ギャンブルに使っている決済手段を解約・削除し、カード情報をブラウザやアプリに保存しない
- 通知・メールの停止:プロモーションメールやプッシュ通知の受信を停止する
- お金の管理を分ける:生活費の口座とそれ以外を分け、生活費の口座からは入金できないようにする

ご自身または家族による入場禁止(利用制限)
ギャンブルの問題に対しては、本人が自ら利用を制限する方法だけでなく、家族が申し出ることで利用を制限する方法もあります。日本国内の公営競技やぱちんこなどでは、本人や家族の申告に基づいて入場やインターネット投票の利用を制限する取り組みが導入されています。ここでは、こうした「入場禁止(利用制限)」の考え方と、オンラインカジノを利用する際の現実的な選択肢について整理します。
本人による申告(自己申告)
本人による申告とは、ギャンブルをやめたい、または減らしたいと考える本人が、自らの意思で利用の制限を申し出る仕組みです。オンラインカジノでいう「自己排除」も、この考え方に含まれます。
- 自分の意思で決めるため、「やめる」決意を形にできる
- 衝動的にプレイしたくなったときの「物理的な壁」になる
- 期間を区切って試し、自分の状態を見つめ直す機会になる
ただし、自己申告による制限は「完全な防止策」ではありません。別の事業者や別の種類のギャンブルに移ってしまう可能性もあるため、制限の申請とあわせて、相談機関や医療機関への相談を検討することが重要です。
家族による申告(家族申告)
家族による申告とは、本人のギャンブルによって生活に影響が出ている家族が、利用の制限を申し出る仕組みです。日本の公営競技やぱちんこでは、一定の条件のもとで家族からの申告を受け付ける取り組みがあります。申告に必要な書類や手続き、制限の範囲は、それぞれの制度によって異なります。
一方、オンラインカジノの場合、家族からの申し出を受け付けるかどうかは事業者によって異なり、受け付けていないケースも少なくありません。アカウントの名義人は本人であるため、個人情報保護の観点から、家族の問い合わせには対応できないとされることもあります。
家族の方へ:家族が利用制限を申し出るかどうかにかかわらず、まずは家族自身が相談機関につながることが大切です。各自治体の精神保健福祉センターなどでは、本人だけでなく家族からの相談も受け付けています。家族向けの自助グループもあり、同じ悩みを持つ人と経験を分かち合うことができます。
日本のIR(統合型リゾート)における入場規制の考え方
日本では、2018年に成立した特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)により、カジノを含む統合型リゾートの枠組みが定められています。同法では、ギャンブル依存の防止を目的として、日本人などの国内居住者に対する入場規制が設けられています。主な内容は次のとおりです。
| 規制の項目 | 内容(国内居住者が対象) | 目的 |
|---|---|---|
| 入場料 | 入場ごとに6,000円の入場料等が課される | 気軽な入場を抑制する |
| 入場回数の上限 | 連続する7日間で3回まで、連続する28日間で10回まで | 頻繁な入場による依存を防ぐ |
| 本人確認 | 入場時にマイナンバーカード等による本人確認を行う | 回数制限や入場制限を確実に運用する |
| 本人・家族の申出による利用制限 | 本人や家族の申出に基づき、入場を制限する仕組みを設ける | 依存の問題を抱える人とその家族を守る |
| 20歳未満の入場禁止 | 20歳未満の者は入場できない | 若年層を守る |
これらの規制は、国内のIR施設を対象としたものであり、海外を拠点とするオンラインカジノに適用されるものではありません。しかし、「入場の頻度を制限する」「本人や家族の申し出で利用を止められるようにする」という考え方は、オンラインでギャンブルと向き合う際にも参考になります。
オンラインで「入場禁止」に近い状態をつくる方法
オンラインカジノには、国内のIRのような公的な入場管理の仕組みはありません。そのため、利用を止めたいと考えたときは、自分で複数の対策を重ねて「入場禁止」に近い状態をつくる必要があります。
- 利用しているすべてのサイトで自己排除を申請する:一つのサイトだけでなく、アカウントを持っているサイトすべてで手続きを行います。
- ブロックソフトを導入する:ギャンブル関連サイトへのアクセスを端末側で制限します。可能であれば、設定のパスワードを信頼できる家族などに管理してもらいます。
- 決済手段を整理する:ギャンブルに使っていた決済手段を解約・削除します。
- プロモーションの受信を止める:メールやSMS、SNSの広告など、ギャンブルを思い出させる情報を遮断します。
- 周囲に伝える:信頼できる人に「やめると決めた」と伝え、支えてもらいます。
- 相談機関につながる:自分一人の意思だけに頼らず、専門家のサポートを受けます。
ほかのギャンブルへの「乗り換え」に注意
一つのギャンブルを制限しても、別の種類のギャンブルに移ってしまうケースがあります。オンラインカジノをやめた代わりに公営競技やぱちんこなどに通い始める、といった形です。ギャンブルの問題は特定の種類に限ったものではないため、制限を考える際は、関わっているギャンブル全体を見渡すことが大切です。
- オンラインカジノの利用を制限したら、ほかのギャンブルの利用状況も振り返る
- 公営競技やぱちんこにも、本人・家族による利用制限の取り組みがあることを知っておく
- 「別のギャンブルなら大丈夫」と考えず、ギャンブル全体との付き合い方を見直す
事前コミットメントプログラム
事前コミットメント(プリコミットメント)とは、ギャンブルを始める前に、使う金額や時間の上限をあらかじめ決めて「約束」し、その約束をプレイ中に変えられないようにしておく考え方です。海外の一部の地域では、ゲーミングマシンなどで、利用者が事前に上限を登録する仕組みが導入されてきました。日本国内のオンライン環境で同様の公的な仕組みがあるわけではありませんが、この考え方は個人の自己管理にも応用できます。
なぜ「事前に」決めることが有効なのか
人の判断は、状況によって大きく変わります。冷静なときには「今日は1時間だけ」と思っていても、プレイ中の興奮や負けの悔しさの中では、その判断が簡単に覆されてしまいます。行動経済学では、こうした「冷静なときの自分」と「熱くなっているときの自分」の判断のズレが知られています。
- 冷静なときの自分:長期的な影響を考え、合理的な上限を決められる
- プレイ中の自分:目の前の勝ち負けに意識が向き、上限を超える判断をしやすい
事前コミットメントは、冷静なときの自分が、プレイ中の自分の行動にあらかじめ「枠」をはめておく方法です。決断を事前に済ませておくことで、プレイ中に判断を迫られる場面そのものを減らせます。
事前コミットメントに含める項目
事前コミットメントをより実効性のあるものにするには、次の項目を具体的に決めておくことが有効です。
- 期間あたりの金額上限:1週間・1か月で使ってよい金額
- 期間あたりの時間上限:1週間・1か月でプレイしてよい時間の合計
- プレイする曜日・時間帯:「平日の夜はプレイしない」など
- 上限に達したときの行動:「その期間はアプリを開かない」「すぐにログアウトする」など
- ルールを破ったときの対応:「破った場合は一定期間クールオフする」「信頼できる人に報告する」など
- 見直しのタイミング:ルールを変更するのは、決められた見直しの日だけにする
自分でできる事前コミットメントの実践方法
公的な仕組みがなくても、次のような方法で事前コミットメントを実践できます。
- ルールを書面にする:上で挙げた項目を紙やメモアプリに書き出し、日付を入れて保存します。
- サイトのツールに反映する:書き出したルールを、入金上限・時間制限・リアリティチェックなどの設定に落とし込みます。
- 変更しにくい環境をつくる:上限の引き上げに待機期間があることを活用し、衝動的な変更ができない状態にします。
- 第三者に共有する:信頼できる家族や友人にルールを伝え、守れているかを定期的に話す機会をつくります。
- 記録をつける:プレイした日時・時間・金額・収支を記録し、ルールとの差を確認します。
コミットメントの記入例:
- 私は、娯楽費として決めた1か月あたりの金額を超えてギャンブルにお金を使いません。
- プレイするのは週末の決めた時間帯だけにし、1回のプレイは事前に決めた時間で終えます。
- 負けを取り返すための追加入金はしません。
- 上限に達したら、その期間はサイトにログインしません。
- このルールを破った場合は、クールオフ機能を使って一定期間プレイを休みます。
- ルールの見直しは月に一度、決めた日にだけ行います。
事前コミットメントの限界と、次のステップ
事前コミットメントは、ギャンブルを娯楽の範囲にとどめたい人にとって有効な方法ですが、万能ではありません。ルールを何度も破ってしまう、ルールを決めても守れないことが続く、という場合は、自己管理だけで対応するのが難しい状態になっている可能性があります。
- ルールを破る頻度が増えている
- ルールの見直しのたびに上限を引き上げている
- ルールを守れなかったことを周囲に隠すようになった
このような状態に気づいたら、クールオフや自己排除といったより強い手段を検討するとともに、相談機関や医療機関に相談することを考えてください。
入場回数制限プログラム
入場回数制限とは、一定期間内にギャンブルを利用できる回数に上限を設ける仕組みです。先に紹介したとおり、日本のIR整備法では、国内居住者のカジノ施設への入場について「連続する7日間で3回まで」「連続する28日間で10回まで」という回数制限が定められています。金額や時間だけでなく、頻度を管理するという発想は、ギャンブルとの付き合い方を考えるうえで重要な視点です。

なぜ「頻度」の管理が大切なのか
1回あたりの金額や時間が小さくても、プレイの頻度が高くなると、ギャンブルが生活の中で占める割合は大きくなります。オンラインカジノは、スマートフォンさえあれば24時間いつでもアクセスできるため、店舗型のギャンブルに比べて頻度が高くなりやすい環境にあります。
- 通勤中や休憩中など、すき間時間に「少しだけ」プレイする習慣がつきやすい
- 移動や営業時間の制約がないため、やめるきっかけが生まれにくい
- 頻度が増えると、ギャンブルのことを考える時間も増えていく
- 1回ごとの金額は小さくても、合計すると大きな金額になる
オンラインで回数制限を実践する方法
オンラインカジノのセーフティツールには、「ログイン回数」を直接制限する機能が用意されていないことも多いため、ほかのツールや自分のルールを組み合わせて実践します。
| 方法 | 具体例 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| プレイする日を決める | 「週末のうち1日だけ」など、プレイしてよい日をあらかじめ指定する | 日常のすき間時間にプレイする習慣を断つ |
| 週・月あたりの回数上限を決める | IR整備法の考え方を参考に、一定期間の回数に上限を設ける | 頻度の増加に早く気づける |
| クールオフを定期的に使う | プレイした翌日から一定期間、クールオフを設定する | 連日のプレイを物理的に防ぐ |
| 端末の利用制限を使う | スクリーンタイム機能で、特定の曜日・時間帯にアクセスできないようにする | 衝動的なアクセスを減らす |
| アプリやブックマークを削除する | ホーム画面からアプリを外し、ブックマークも消しておく | 「ついタップしてしまう」行動を減らす |
| 回数を記録する | カレンダーにプレイした日を記録し、月ごとに振り返る | 頻度の変化を客観的に把握できる |
頻度に関する注意サイン
次のような変化に気づいたら、ギャンブルの頻度が高くなりすぎているサインかもしれません。
- 決めた回数を超えてプレイすることが増えた
- プレイしない日にも、ギャンブルのことを考える時間が長くなった
- 以前は楽しんでいた趣味や人との交流の時間が減った
- 仕事中や家族といるときにも、こっそりプレイするようになった
- プレイしない日が続くと、落ち着かない気持ちになる
ヒント:「ギャンブルをしない日」を意識的に増やし、その時間に別の楽しみや活動を入れることも効果的です。運動、趣味、友人との時間など、ギャンブル以外で気分転換できる手段を複数持っておくことは、依存のリスクを下げることにつながります。
ご自身のギャンブル依存について、憂慮されていますか?
「最近、ギャンブルとの付き合い方がおかしいかもしれない」と感じているなら、その気づき自体がとても大切な一歩です。ギャンブルの問題は、本人が気づかないうちに少しずつ進行することが多く、自分から「心配だ」と感じられる段階で対処を始めることには大きな意味があります。
ギャンブル依存症は医学的に認められた状態です
ギャンブル依存症は、性格や意志の問題ではなく、医学的に認められた状態です。代表的な診断基準として、次のようなものがあります。
- DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準):「ギャンブル障害」として、物質の使用に関連しない依存の障害に分類されています。過去12か月間に、定められた9項目の基準のうち4項目以上が当てはまることなどが診断の目安とされています。
- ICD-11(世界保健機関の国際疾病分類):ギャンブルの問題は、依存行動による障害の一つとして位置づけられています。
日本では、2018年にギャンブル等依存症対策基本法が成立し、ギャンブル等依存症の予防や、本人・家族への支援に国や自治体が取り組むことが定められました。ギャンブルの問題は、社会全体で向き合うべき健康の課題として扱われています。
自己評価ツールを使って状態を振り返る
自分の状態を客観的に振り返る方法として、国際的に使われている評価尺度があります。その一つが、PGSI(Problem Gambling Severity Index:問題ギャンブル重症度指標)です。PGSIは、過去12か月間のギャンブルについて9つの質問に答え、それぞれ「まったくない(0点)」「ときどき(1点)」「たいてい(2点)」「ほとんどいつも(3点)」で点数をつける形式です。
質問は、たとえば次のような内容を尋ねるものです。
- 失っても困らない金額以上に賭けたことがあるか
- 同じ興奮を得るために、より多くの金額を賭ける必要があったか
- 負けた分を取り戻すために、別の日にまたギャンブルをしたか
- ギャンブルのためにお金を借りたり、何かを売ったりしたか
- 自分のギャンブルに問題があるかもしれないと感じたことがあるか
- ギャンブルがストレスや不安などの健康上の問題を引き起こしたか
- 周囲の人からギャンブルについて指摘されたことがあるか
- ギャンブルが自分や家庭の経済的な問題を引き起こしたか
- ギャンブルのやり方や、ギャンブルをした結果について罪悪感を覚えたか
| PGSIの合計点 | 一般的な区分 | 考えたい対応 |
|---|---|---|
| 0点 | 問題のないギャンブル | 現在のルールと自己管理を続ける |
| 1〜2点 | 低リスク | 使う金額や時間を見直し、セーフティツールを活用する |
| 3〜7点 | 中程度のリスク | プレイの頻度や金額を減らし、相談窓口の利用を検討する |
| 8点以上 | 問題のあるギャンブル | 早めに専門の相談機関や医療機関に相談する |
大切な注意点:こうした評価尺度は、自分の状態を振り返るための目安であり、医学的な診断ではありません。点数が低くても不安がある場合や、点数にかかわらず生活に支障が出ている場合は、専門家に相談してください。
「心配だ」と感じたときに、まずできること
自分のギャンブルが心配になったとき、すぐにできることがいくつかあります。完璧を目指す必要はありません。できることから一つずつ始めてみてください。
- いったんプレイを止める:クールオフや自己排除の機能を使い、まずは物理的に距離を置きます。
- お金の状況を書き出す:これまでに使った金額、借入の有無や金額を、できる範囲で正直に書き出します。
- 信頼できる人に話す:家族や友人など、一人でも話せる相手を見つけます。
- 相談窓口に連絡する:精神保健福祉センターなどの公的な窓口では、匿名での相談に応じている場合もあります。
- 借金を増やさない:新たな借入や、ギャンブルでの返済を考えることをやめます。
恥ずかしさや罪悪感との向き合い方
ギャンブルの問題を抱える人の多くは、恥ずかしさや罪悪感から、誰にも相談できずに一人で悩みを抱え込んでしまいます。しかし、問題を隠し続けることで、借金が増えたり、状況が悪化したりすることも少なくありません。
- ギャンブル依存症は、誰にでも起こりうる状態です
- 相談することは、弱さではなく、回復に向けた行動です
- 相談窓口や医療機関には守秘義務があり、相談内容が勝手に外部に伝わることはありません
- 早く相談するほど、選べる解決策は多くなります
ギャンブル依存症のカウンセリングと治療
ギャンブル依存症は、適切な治療や支援によって回復をめざせる状態です。治療の目標は、ギャンブルをやめる、あるいはギャンブルによる問題を解消し、本来の生活を取り戻すことにあります。ここでは、一般的なカウンセリングや治療の方法、回復までの流れについて紹介します。
どこで治療を受けられるのか
ギャンブル依存症の治療は、主に精神科や心療内科で行われます。ただし、すべての医療機関が依存症の治療に対応しているわけではありません。
- 依存症の専門医療機関:ギャンブル等依存症対策基本法などに基づき、都道府県などが依存症の専門医療機関や治療拠点機関の選定を進めています。
- 精神保健福祉センター:どの医療機関で治療を受けられるか、地域の情報を教えてもらうことができます。
- かかりつけ医:まずは身近な医師に相談し、専門の医療機関を紹介してもらう方法もあります。
受診前には、医療機関に電話などで「ギャンブルの問題について相談したい」と伝え、対応しているかを確認しておくとスムーズです。
認知行動療法(CBT)
ギャンブル依存症の治療で中心的な役割を担っているのが、認知行動療法です。認知行動療法は、ギャンブルにつながる考え方のくせ(認知)や行動のパターンに気づき、それを少しずつ変えていく心理療法です。
- 引き金(トリガー)の把握:どのような状況や気分のときにギャンブルをしたくなるのかを明らかにします。
- 考え方のくせの見直し:「次は勝てる」「負けを取り戻せる」といった考えが、どのように行動に影響しているかを検討します。
- 対処法の練習:ギャンブルをしたくなったときに、別の行動を取る方法を身につけます。
- 再発の予防:再びギャンブルをしてしまいそうな危険な場面を予測し、その備えを考えます。
保険適用について:日本では、2020年度の診療報酬改定により、一定の要件を満たす医療機関で行われるギャンブル依存症の集団治療プログラムが、公的医療保険の対象となりました。受診を検討する際は、医療機関に保険適用の対象となるプログラムを実施しているかを確認するとよいでしょう。
集団療法と個人カウンセリング
治療やカウンセリングには、主に次のような形式があります。それぞれに特徴があり、組み合わせて行われることも少なくありません。
| 形式 | 特徴 | 期待できること |
|---|---|---|
| 個人カウンセリング | 専門家と一対一で話し合う | 他人に話しにくい内容も相談でき、自分の状況に合わせた支援を受けられる |
| 集団療法(グループ治療) | 同じ悩みを持つ複数の人と、専門家の進行のもとでプログラムに取り組む | 自分だけではないと知り、他者の経験から学べる |
| 家族への支援 | 家族が専門家から助言を受けたり、家族向けのプログラムに参加したりする | 家族の負担を減らし、本人への適切な関わり方を学べる |
| 自助グループ | 当事者同士が集まり、経験を分かち合う(医療機関とは別の場) | 回復を長く続けるための支えとなる |
自助グループの役割
自助グループは、ギャンブルの問題を抱える当事者や、その家族が集まり、互いの経験を語り合う場です。医療機関での治療とは異なりますが、回復を続けていくうえで大きな支えとなります。
- 当事者のグループ:ギャンブルをやめたいと願う本人が集まります。代表的なものとして、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)があり、全国各地でミーティングが開かれています。
- 家族のグループ:ギャンブルの問題を抱える人の家族や友人が集まります。代表的なものとして、ギャマノンがあります。
自助グループのミーティングでは、本名を名乗る必要がないなど、匿名性が大切にされています。話を聞くだけの参加も可能な場合が多いため、まずは様子を見るつもりで足を運んでみるのもよいでしょう。
薬物療法について
現時点では、ギャンブル依存症そのものを治す薬として確立されたものはなく、治療の中心は心理療法や支援プログラムです。ただし、ギャンブル依存症には、うつ病や不安障害、注意欠如・多動症(ADHD)、アルコールなどほかの依存症が併存していることがあり、そうした併存する症状に対して薬物療法が行われる場合があります。服薬については、必ず医師の判断に従ってください。
併存する問題にも目を向ける
ギャンブルの問題は、ほかの問題と結びついていることが少なくありません。回復のためには、ギャンブルだけでなく、生活全体を見渡すことが大切です。
- 心の健康:うつ状態、強い不安、不眠などがある場合は、あわせて治療を受けます。
- お金の問題:借金がある場合は、債務整理などの法的な手続きを検討します。
- 人間関係:家族や職場との関係の修復には時間がかかることもあります。焦らずに取り組みます。
- 生活リズム:睡眠や食事を整え、ギャンブル以外の時間の過ごし方を見つけます。
借金の問題への対応
ギャンブルによる借金を抱えている場合、ギャンブルで返済しようとすることは、状況をさらに悪化させる典型的なパターンです。借金の問題は、法的な手続きによって解決の道を探ることができます。
- 債務整理の相談:任意整理、個人再生、自己破産などの手続きについて、弁護士や司法書士に相談できます。経済的に余裕がない場合は、法テラス(日本司法支援センター)などの公的な法律相談窓口を利用する方法もあります。
- 貸付自粛制度:本人が申告することで、一定期間、新たな借入をしにくくする「貸付自粛制度」が、貸金業界や銀行業界の団体によって設けられています。ギャンブルのための借入を防ぐ手段の一つとして知っておくとよいでしょう。
- 家族による肩代わりの注意点:家族が借金を肩代わりすると、本人が問題に向き合う機会が失われ、再びギャンブルをしてしまうきっかけになることがあります。肩代わりを考える前に、専門家に相談してください。
回復の道のりと「スリップ」
回復は一直線に進むものではありません。一度ギャンブルをやめても、再びしてしまうことがあります。これを「スリップ」と呼ぶことがあります。スリップは回復の過程で起こりうることであり、それで全てが終わるわけではありません。
- スリップしたことを隠さず、治療者や自助グループの仲間に正直に話す
- なぜスリップしたのか、引き金となった状況を振り返る
- 再発予防の計画を見直し、必要な対策を加える
- 自分を責めすぎず、回復への取り組みを続ける
回復のために大切なこと:回復は、一人で達成するものではありません。医療機関、相談窓口、自助グループ、家族など、多くの支えを得ながら少しずつ進んでいくものです。長い目で見て、自分のペースで取り組むことが大切です。
責任あるギャンブルを実践するための習慣づくり
セーフティツールや事前のルールに加えて、ギャンブルについての正しい知識を持ち、日々の習慣として自己管理を続けることが、責任あるギャンブルの実践につながります。ここでは、ギャンブルの仕組みに関する基本的な知識と、よくある思い込み、日常でできる習慣を紹介します。
ギャンブルの仕組みを知る:ハウスエッジと還元率
カジノのゲームは、長期的には運営側が利益を得られるように設計されています。この運営側の取り分を「ハウスエッジ(控除率)」と呼び、反対に、賭け金のうち理論上プレイヤーに戻る割合を「還元率(RTP)」と呼びます。
たとえばルーレットの場合、ハウスエッジはルールから数学的に計算できます。
| ゲーム | ポケットの数 | ハウスエッジ(理論値) | 理由 |
|---|---|---|---|
| ヨーロピアンルーレット(シングルゼロ) | 37(0と1〜36) | 約2.70% | 配当は36ポケットを前提に計算されるが、実際には37ポケットあるため(1/37) |
| アメリカンルーレット(ダブルゼロ) | 38(0、00と1〜36) | 約5.26% | 同じ配当で38ポケットあるため(2/38) |
このように、ゲームにはあらかじめ運営側に有利な差が組み込まれています。スロットなどの還元率は機種やゲームごとに異なりますが、いずれも「長期的に見た理論上の平均値」です。短期間では大きく勝つことも負けることもありますが、プレイを続けるほど、結果は理論値に近づいていくと考えられています。
押さえておきたい考え方:還元率が高いゲームでも、長期的にはプレイヤーが損をする設計であることに変わりはありません。ギャンブルにかけるお金は「増やすためのお金」ではなく、「娯楽の対価として支払うお金」と考えることが、健全な付き合い方の基本です。

よくある思い込みと、実際の仕組み
ギャンブルには、多くの人が陥りやすい思い込みがあります。こうした思い込みは、ルールを超えて賭け続ける原因になります。
- 「負けが続いたから、そろそろ勝てるはず」:ルーレットやスロットなど、毎回の結果が独立しているゲームでは、過去の結果は次の結果に影響しません。こうした思い込みは「ギャンブラーの誤謬」と呼ばれています。
- 「惜しかったから、次は当たる」:あと一歩で当たりそうに見える「ニアミス」は、実際には単なる外れです。惜しいと感じても、当たりに近づいているわけではありません。
- 「この台(ゲーム)は今、出やすい」:オンラインのゲームは乱数によって結果が決まる仕組みが一般的で、「流れ」や「波」を読んで勝てるものではありません。
- 「必勝法を使えば勝てる」:ハウスエッジがあるゲームで、長期的に必ず勝てる賭け方は存在しません。
- 「自分には勝つための技術や運がある」:偶然の要素が大きいゲームで、自分がコントロールできると感じてしまう心理は「コントロールの錯覚」と呼ばれます。
賭け金を倍にしていく方法の危うさ
負けるたびに賭け金を倍にしていき、一度勝てば損失を取り戻せる、とする賭け方(マーチンゲール法などと呼ばれます)があります。一見すると合理的に思えますが、負けが続いたときに必要な金額は急激に増えていきます。
| 連敗数 | 次の賭け金(最初を100とした場合) | それまでの損失の合計 |
|---|---|---|
| 1回 | 200 | 100 |
| 3回 | 800 | 700 |
| 5回 | 3,200 | 3,100 |
| 7回 | 12,800 | 12,700 |
| 10回 | 102,400 | 102,300 |
この表のとおり、最初の賭け金が小さくても、10回連敗すると次の賭け金は最初の1,000倍を超えます。しかも、最終的に勝ったとしても得られる利益は最初の賭け金分にすぎません。さらに、多くのゲームには賭け金の上限があるため、途中で倍賭けを続けられなくなることもあります。こうした賭け方は「負けを取り返そうとする行動」と同じ構造を持っており、損失を大きくするリスクが高い方法です。

日常でできる自己管理の習慣
責任あるギャンブルは、一度ルールを決めれば終わりではなく、日々の習慣として続けていくことが大切です。
- 収支を記録する:勝った日だけでなく、負けた日も含めてすべて記録します。記憶だけに頼ると、勝った印象ばかりが残りやすくなります。
- 月に一度振り返る:1か月の合計金額・時間・回数を確認し、事前に決めたルールと比べます。
- ギャンブル以外の楽しみを持つ:趣味、運動、人との交流など、気分転換の手段を複数持っておきます。
- お酒と組み合わせない:飲酒は判断力を鈍らせ、ルールを超えた賭けにつながりやすくなります。
- 勝ったお金を「軍資金」にしない:勝ったときこそ、決めたとおりに終える習慣をつけます。
- 休止期間を設ける:定期的にギャンブルをしない期間をつくり、なくても困らない状態かを確認します。
気持ちの状態に気づく「HALT」
依存の問題の回復支援などでよく使われる考え方に「HALT(ホルト)」があります。これは、衝動的な行動につながりやすい4つの状態の頭文字をとったものです。
- H(Hungry):空腹のとき
- A(Angry):怒っているとき
- L(Lonely):寂しいとき
- T(Tired):疲れているとき
ギャンブルをしたくなったときは、自分がこの4つのどれかの状態にないかを確認してみましょう。当てはまる場合は、まず食事をとる、休む、誰かと話すなど、その状態を整えることを優先してください。

ヘルプがあります — 一人で抱え込まないために
ギャンブルの問題は、本人だけでなく、家族や周囲の人にも大きな影響を及ぼします。しかし、どのような状況であっても、助けを求めることはできます。ここでは、本人と家族それぞれが知っておきたい支援の考え方と、状況に応じた行動の目安を紹介します。
状況別の行動の目安
| 今の状況 | まずできること | あわせて検討したいこと |
|---|---|---|
| ギャンブルの時間や金額が増えてきたと感じる | セーフティツールで上限を設定し、収支を記録する | 事前コミットメントのルールを作る |
| ルールを決めても守れない | クールオフや自己排除を使って距離を置く | 公的な相談窓口に相談する |
| ギャンブルのために借金をしている | 新たな借入をやめ、借金の状況を書き出す | 法律の専門家に債務整理を相談する |
| 家族に隠している、関係が悪化している | 信頼できる人に打ち明ける | 医療機関や自助グループにつながる |
| 家族のギャンブルに悩んでいる | 家族自身が相談窓口に相談する | 家族向けの自助グループやプログラムに参加する |
| 追い詰められ、死にたいと感じている | ためらわずに身近な人や相談窓口に助けを求める | 命の危険が迫っている場合は119番などで緊急の助けを求める |
家族や周囲の人ができること
大切な人がギャンブルの問題を抱えているとき、家族は強い不安や怒り、悲しみを感じるものです。家族が適切に関わることは、本人の回復にとって大きな力になります。一方で、良かれと思った行動が、結果的に問題を長引かせてしまうこともあります。
心がけたいこと
- まずは家族自身が相談窓口や家族向けの自助グループにつながる
- 本人を責めるのではなく、心配している気持ちを落ち着いて伝える
- ギャンブルをしていないときの本人の良い行動を認める
- 家族自身の生活や心身の健康を大切にする
- 家計の管理を見直し、生活費を守る
避けたいこと
- 借金の肩代わりを繰り返す
- ギャンブルの問題を周囲に隠すために、本人の代わりに言い訳をする
- 感情的に責め続ける、人格を否定する
- 家族だけで問題を抱え込み、誰にも相談しない
家族向けの支援方法について:依存症の分野では、家族が本人との関わり方を学ぶことで、本人を治療につなげることをめざすプログラムが知られています。その一つが「CRAFT(コミュニティ強化と家族訓練)」と呼ばれる方法で、本人を責めずに前向きなコミュニケーションを重ねることを重視しています。こうしたプログラムを実施している相談機関もあるため、地域の精神保健福祉センターなどに問い合わせてみるとよいでしょう。
子どもや若い世代への配慮
家庭内にギャンブルの問題がある場合、子どもも影響を受けることがあります。また、インターネットやスマートフォンを通じて、若い世代がギャンブル的な要素に触れる機会も増えています。
- 家庭の端末にフィルタリングを設定し、未成年がギャンブルサイトにアクセスできないようにする
- 端末やアプリに決済情報を保存したままにしない
- ギャンブルの仕組みやリスクについて、年齢に応じて話し合う
- 家庭内のギャンブルの問題で子どもが不安を感じている場合は、子どもの気持ちにも目を向ける
ギャンブル等依存症問題啓発週間
ギャンブル等依存症対策基本法では、毎年5月14日から5月20日までを「ギャンブル等依存症問題啓発週間」と定めています。この期間には、国や自治体、関係団体などによって、ギャンブル等依存症に関する啓発活動や相談会などが行われることがあります。こうした機会をきっかけに、自分や身近な人のギャンブルとの付き合い方を見直してみるのもよいでしょう。
最後に:助けを求めることは、回復への第一歩です
ギャンブルの問題は、決して一人で解決しなければならないものではありません。早い段階で気づき、行動を起こすほど、選べる道は多くなります。
- ギャンブルは、あくまで娯楽の範囲で楽しむもの
- コントロールが難しいと感じたら、ツールを使って距離を置く
- 不安を感じたら、ためらわずに専門家に相談する
- 家族も、一人で抱え込まずに支援を受ける
- 回復は可能であり、そのための支えは用意されている
本ページで紹介した内容が、ギャンブルと安全に向き合うための一助となれば幸いです。少しでも不安を感じたときは、一人で悩まず、身近な相談窓口や医療機関に相談してください。